|
やがて就職して勤め人となり、ある程度まとまった額のローンが組める身分になると、長年の憧れであった「アルファロメオ」を現実のものにしたいという欲求が頭をもたげてくるのは自然の成り行きであった。しかし、「和製アルファ」との異名をとる「ベレG」によって「さびる可能性の高い車(もしくはさびてる車)は、屋根があっても雨の日には出来れば乗りたくない」ということや、また学生時代に付き合っていた女の子が乗っていたMGFによって、「オープンエアーモータリングの気持ちよさ」も経験してしまった結果、憧れの対象は段付きからスパイダーへと変わっていた。
しかし、次に買う車はある程度長い間の付き合いが予想される。アルファロメオへの憧れはあるものの、実体験の伴わない無謀な憧れによって「しまった、あっちにしとけば良かった」となってしまっては目も当てられない。そこで対立候補をいくつかあげることにした。最終的に対立候補として残ったのは、直線加速に置いては圧倒的な動力性能を誇るフェアレディSR311、かわいらしい造形がどうしても頭から離れないオースチンヒーレースプライトマークI(通称「カニ目」)であった(高回転型エンジンと軽量ボディが魅力のホンダのSシリーズ、KB110サニー等も捨て難かったが、実物を目の前にしても、外観がどうも好みではなかった)。しかしながらこれらの対立候補も試乗と相場調査の結果、あえなく購入圏外へと脱落した。SR311は乗り味の粗さと店の親父が気にくわなかったこと、カニ目はその遅さに呆れたことが、その理由である。それぞれに魅力的ではあったけれども、今の自分が乗る車としてはどちらもピンと来なかった。 |